久里浜医療センター

WHO (世界保健機関) アルコール関連問題研究・研修協力センター

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2. 飲酒と健康問題

アルコールと循環器疾患

適量の酒は体によいといわれます。こと循環器疾患に限っていえば、この法則が当てはまるようにみえます(「飲酒とJカーブ」の項目を参照)。これには、心筋梗塞、狭心症1)、心不全、高血圧、脳梗塞、末梢動脈閉塞症などが該当しますが、飲酒量として毎日2ドリンク = 20g程度(「飲酒量の単位」の項目を参照)、つまりビール500 mLまでに当てはまる法則です。一方、脳出血、不整脈に関しては、少量の飲酒であっても疾患のリスクを、また一気飲みは突然死のリスクを高めます。

1. 循環器疾患にとっての適量とは
Jカーブの意味するところは、逆に2ドリンクを越えれば循環器疾患のリスクを増大させるということです。もっとも、この量はあくまでも対象者全体の平均値の酒量であって、個々人の許容量は体質や体格によって異なります。更に、2ドリンクの飲酒を続けることで循環器疾患の発生を積極的に予防するかの証明はこれまでになされていません。試しにかかりつけの先生に自分の飲酒量は適量がどうか聴いてみてください。「ちょっと飲みすぎですね」とか「このくらいでしたらまあよいですね」などと言われることはあっても、「ちょっと少ないですね。もっと飲まないと病気には効きません」とさらに酒を勧められることはないでしょう。飲酒には「適量」はなくあくまで「許容量」としてとらえたほうがよいようです。

2. リスク因子としての飲酒の位置づけ
循環器疾患には多くのリスク因子が指摘されております。確立しているものとしては、高血圧・高脂血症・糖尿病・肥満・喫煙などがあり、保護的に働くものは、適度な運動、果物や野菜を取り入れた食事、ビタミンB12や葉酸などのビタミン類であります。たとえば喫煙の循環器疾患に対するリスクは2倍です。また適度な運動は実際に循環器疾患の発生を積極的に予防することが証明されております。循環器疾患予防には飲酒より禁煙であり適度な運動なのです。

3. 循環器疾患と酒との上手な付き合い方
とはいえ酒は古来より飲み親しまれてきました。他人から「いいお酒ですね」と言われるお酒の飲み方がおそらくあると思います。適量の酒とは、酒によって健康になるという性質のものではなく、適量のお酒を飲んでもよい環境、すなわち適度な運動をし、バランスの取れた食事をし、生き生きとした健康的な生活の結果として許される「節度ある適度な飲酒」(「健康日本21」の項目を参照)を指すのでしょう2)。

参考文献
1) Thun MJ et al. Alcohol consumption and mortality among middle-aged and elderly U.S. adults. N Engl J Med 337: 1705-14, 1997.
2) 松井敏史 高齢者における飲酒問題と対策 NEWS & REPORT 平成23年7月号 アルコール健康医学協会

著者
松井敏史

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