久里浜医療センター

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Intestinal researchにIBSの「腸管運動異常」「腸管形態異常」が掲載されました。 Colonic dysmotility and morphological abnormality frequently detected in Japanese patients with irritable bowel syndrome Takeshi Mizukami, Shinya Sugimoto,Tatsuhiro Masaoka,Hidekazu Suzuki,Takanori Kanai Intest Res,Published online March 20,2017 pISSN 1598-9100・eISSN 2288-1956

過敏性腸症候群への取り組み

「過敏性腸症候群は大腸検査で見る事ができる」

過敏性腸症候群(IBS)は脳腸相関の異常、消化管運動異常・知覚過敏が存在する状態で、心理的緊張(試験や電車への乗車など)によって下痢・腹痛などの症状増悪を起こすことで知られる「機能性胃腸障害」の一つで成人での有病率は5-20%と報告されています。

過敏性腸症候群の特徴としては就寝中には症状が出現しないこと、下痢や腹痛が主症状であるにもかかわらずブスコパンRなどの鎮痙剤があまり有効ではなく、抗鬱薬や抗不安薬が有効であることが挙げられます。

これまで一般臨床で過敏性腸症候群を診断する方法がなかったため、消化器科にかかっても「大腸検査は正常で問題なし」で片づけられ、実際には症状に苦しんでいても納得がいく説明を受けることができず、適切な治療が受けられないことが多かった疾患でもあります。

我々は腸管内容積の変動を抑えて(お腹が張らない)腸管を伸ばさないことで患者様の苦痛を減らし、鎮静剤や鎮痛剤などの麻酔を使用せずブスコパンRなど鎮痙剤の投与のみで無痛挿入が可能な大腸内視鏡(大腸鏡)挿入法「浸水法」を開発・実施しています(Mizukami T, Yokoyama A, Imaeda H et al. Collapse-submergence method: simple colonoscopic technique combining water infusion with complete air removal from the rectosigmoid colon. Dig Endosc 2007; 19: 43-48.)。本法は2007年より米スタンフォード大学やUCLAで導入され、2010には従来法に比して「苦痛が少ないこと」「挿入時間の短縮ができること」について論文化されました(C W. Leung, R M. Soetikno Water Immersion Vs Conventional Colonoscopy Insertion: A Randomized Controlled Trial Showing Promise for Minimal-Sedation Colonoscopy. Endoscopy 2010; 42(7): 557-563)。

国内でも苦痛が少ない合理的な方法として日経メディカル2010年6月号トレンドビュー「注水で大腸内視鏡を容易に鎮静、送気不要でS状結腸挿入時の苦痛も軽減」や、新聞多数紙に取り上げて頂いております。

これまで鎮痙剤の前投与のみを行う大腸内視鏡(大腸鏡)検査では投薬後8分を超えて約10%の方で遷延性の腸管運動を認めることを報告していましたが、近年これらの方では再検査でも高率に遷延性腸管運動を認め、過敏性腸症候群の症状・既往があることがわかりました(第70回消化器心身医学会 第1回並木賞受賞)。

過敏性腸症候群の方では心理的緊張(大腸内視鏡(大腸鏡)検査への緊張)が脳腸相関を介して異常な腸管運動を引き起こすため、健常者では腸管運動を停止させる作用を持つブスコパンRなどの鎮痙剤では腸管運動が停止しないことがわかってきました(麻酔をかける大腸内視鏡(大腸鏡)検査では脳とともに大腸も寝てしまう(動かなくなる)ため過敏性腸症候群の腸管運動異常は判らなくなります)。

さらに過敏性腸症候群で興味深いことは大腸内視鏡(大腸鏡)検査でポリープや大腸癌がなく、自身の腸管運動異常を認識し理解すると、多くの方が症状を克服できるようになる「デリケートな腸とうまくつきあえるようになる」ことです。
不安(いつまでも症状が続くが、悪い病気が隠れているのではないか等)が腸管運動異常を引き起こし、さらに症状を悪化させ、不安をつのらせるという悪循環が過敏性腸症候群での一番の問題点なのですが、大腸内視鏡(大腸鏡)検査をすることでこの悪循環を断ち切ることができるからではないかと考えております(大腸内視鏡(大腸鏡)による過敏性腸症候群の腸管運動評価 診断と病型分類、治療への応用の可能性 水上健,鈴木秀和, 日比紀文 消化器心身医学16巻1号 P91-97(2009.04)。

また我々の大腸内視鏡(大腸鏡)挿入法「浸水法」は、無麻酔で苦痛がほとんどないという特徴に加えて、螺旋の複合体である大腸を「コルク抜き」のように捻り操作で挿入していくという特徴があります。「浸水法」では腸管の捻れにあわせて挿入していくので、私たちは個人個人の大腸形態を把握しながら検査を施行しております。

近年、過敏性腸症候群と言われている方でもストレスの関与が少ない方がいることが明らかになり、ストレスによる腸管運動異常がその病態ではなく、腸管形態異常による通過障害が病態で過敏性腸症候群の症状を出していることが明らかになりました(消化器心身医学 2010 17(1)33-39.日経メディカル 消化管学会総会特集号2010にも御掲載いただきました。)

これらの腸管形態異常のある患者様の症状の特徴は「硬い少量の便が出た後、大量の下痢や軟便が出ること」で、腸のねじれた部位で栓となっていた硬い便が出ると、つかえていた大量の下痢便や軟便が大量に出ることです。これらの方は症状に先行する明らかなストレスがないことが多く、結婚・退職・それまでしていた運動の中止などの生活変化がきっかけになることが多く、「下剤をかけるとひどい下痢、下痢止めを使うとひどい便秘」になるなど便通のコントロールが困難で、従来の過敏性腸症候群の治療効果はあまりありませんでした。

 

当院 水上は2007年より横浜市立市民病院で腸管形態異常による過敏性腸症候群の方に大腸内視鏡(大腸鏡)での腸管運動評価に加えて注腸造影を併用した腸管形態の評価と、その腸管形態に応じた便性状コントロール・マッサージ・エクササイズをオーダーメードで行う新しい試みを先んじて行い、とても良好な成績を得ました。2010年からはCTにより腸管形態を立体的に描出可能なCTコロノグラフィーを導入し、患者様にもご自身の腸管形態がより理解しやすいものとなるとともに検査の身体的負担が少なくなっております(大腸内視鏡(大腸鏡)直後に仰向けでCTを撮るだけです)。

このことは2010年12月2日のフジテレビ「とくだね」で放映されました。
過敏性腸症候群は決して「検査で異常がない」疾患ではありません。大腸検査で異常や腸管形態異常を確認して適切な対応策をとることができます。

当院内科ではこれらの発見と豊富な経験をもとに「過敏性腸症候群の大腸内視鏡(大腸鏡)とCTコロノグラフィーを統合した腸管運動・腸管形態評価と治療」に取り組んでおります。「過敏性腸症候群と言われているがあまり良くならない」、「ご自身の大腸の状態を確認し、治療につなげたい」と思われている方の御受診をお待ちしております。

(IBS外来 月曜 金曜 8:30−11:00受付)
これまで医療機関を受診されている方は検査結果を含めた紹介状をご持参ください。
遠隔地からの方は、検査スケジュールを配慮いたしますので受診前にご一報下さい。

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